俺と王子と情熱と
時々ジーノの家に遊びに来る程度のまだ出来てないジノ→←ザキ。なんちゃってアドベントとしてクリスマスに向けて連載やりました。しかし予定が狂って年末まではみ出してしまった……「私の書くジノザキから連想した文章」を書いていただいたので、それをベースにスタートしました。
Adventus 15
王子は俺に黙って聞けと、そう言った。それを聞いたのち身を任せるのか任せないのか、最終的な判断を俺が自分でやれと言った。けれど『愛を踏みにじる』と表現した王子の言葉で、俺はすっかり萎縮した。
(決まってる。王子と寝るなんてあり得ない)
(でも王子の気持ちが本当でも嘘でも、寝なければ俺達はもう終わりだ。NOなら俺達はその瞬間……当然の話。だって許されない、王子の要求に逆らうなんて)
(怖い。無理だ王子には逆らえない。いう事をきかなきゃ。でもそんな事駄目に決まってる。だってそうしたら俺はもう元には戻れない。一度でもそんな強い関係性を築いてしまったら俺は本当にこの先王子なしには生きていけなくなる)
(盲目的に王子の言うなりになってそれでこの先何が起こる?何回かやれば気が済んだって、王子なら絶対に俺に言う。王子にとらわれた俺は自分を持て余して、それから一体どうなって……あり得ない、そんな生活耐えられるわけが。でも、寝なければその前に終わる、こうして王子ともう会えなくなる)
(寝ても寝なくても、結局終わる?今みたいにもう、過ごせなくなる……どっちにしろ今みたいには。そんな事、そんな……でも、事実だ)
グルグルと回るループに閉じ込められた俺があの後、一体何を言ったのか殆ど内容を覚えていない。黙って聞けと言われたにもかかわらずちょっとしたパニック状態に陥って騒ぎ始めた俺を見ながら、王子はそれを止めることなく無表情に黙り込んでしまった。沈黙の怖い俺は益々追い詰められて更に侮蔑的な言葉を投げた。彼の容姿、彼の才能、男としての、選手としての嫉妬心。そのうちだんだん自分でも想像もしていなかった言葉まで飛び出し始めた。理不尽な文句を沢山沢山吐き出した挙句、最後にとうとう言葉が枯れた。
「酷い人だ……あんた……こんな……こんな事……何もかも全部ぶち壊して、本当に、ひど……」
泣き言のように、ただただ酷いと繰り返した。
(俺、わけわかんなくなって、王子に凄く酷い事を言った。きっと王子、あきれてる?)
(滅茶苦茶やってる間に、いつの間にか……結論はもう出てしまった、のか?もしかしなくても、俺達このまま……王子が嫌って、事が終わる?)
(……俺はもう既に滅茶苦茶になりながら王子に逆らってしまったんだ?そっか、いなくなるんだ、王子。もう一緒にいられない)
もう何も言葉が浮かんでこない俺は、ぐったりとその場で項垂れた。ただただその喪失感だけが俺の全てを包んでいた。
すると、シンと静まり返る沈黙の中、王子がポツリとこう言った。
「もう、いいの?」
問われても最早、返事をする元気すら欠片も残っていなかった。俺は無理な選択を強いる王子を、強く激しく恐怖していて、何を選択しようとも結局捨てられる未来が怖くて、必死に逆らい噛み付く様に罵詈雑言を並べたてた。全部無駄だとはわかっていながら情けない程の抵抗を続けた。やらずにはいられなかった。俺が黙れば足踏みしていた時が進む。結論が来るのだな、とその事だけが身に染みた。
(もう、いいか?王子、よくはないけど、もういいです)
覚悟なんて出来なかった。けれどする他ないと俺は思った。
けれどそこに居たのは、そんな俺が思わず拍子抜けする程の、あまりに変わらぬいつもの王子。優しい優しい、俺の大好きな王子そのままの人だった。
「ザッキー、ボク強引だった」
「……王子?」
「全部ちゃんとわかってたのに……答えが出せないキミがそうなっちゃう事。なのに」
「あ……」
「凄く、辛かったね?ゴメン、ザッキー」
泣きそうだった。
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