お花結び

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俺と王子と情熱と

時々ジーノの家に遊びに来る程度のまだ出来てないジノ→←ザキ。なんちゃってアドベントとしてクリスマスに向けて連載やりました。しかし予定が狂って年末まではみ出してしまった……「私の書くジノザキから連想した文章」を書いていただいたので、それをベースにスタートしました。

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Adventus 06

「ん、だからボクもそういう話を真剣にしているつもりなんだけど?」
「ふざけろよ」
「ふざけてなんか……」
「出鱈目ばっかペラッペラ言って、俺のやる事なす事ひっくり返して……俺今笑ってます?」
「……」
「なのになんだか王子、十分楽しそう?俺、なによりですねって言えばいいンスかね」

「俺もあんたが笑ってんの見てるの楽しかった。でも、笑われんのと、笑いかけてもらうの、結構差がありますよ?もうそういうのも全部全部、なんか疲れた」

 鉛のように重たくなった体を抱えて、肝心な時に静かになってしまう王子に言う。

「ご馳走様。お邪魔しました」

 俺は王子に何を望んだ?引き留めの腕が伸びることなく、見送りの言葉があるでなく。おそらくはゆっくり過ぎる程の足取りの中、王子はそこから姿を消してしまったが如く、生を感じない置物になった。

 荷物を持って、玄関に向かい、靴を履いても気配がなかった。

 自分が何をしでかしたのか。ただもう泥のように眠ってしまいたいその時の俺は、まるで認識出来なかった。

 翌朝パンパンに腫れた目をして起き上がって、ようやく心が息し始めた。王子のやっている事は理解出来ない。でもそれに釣られた俺の行動は自分でも呆れる程支離滅裂なものだった。

「どうなるのが正解だったんだ?」

 試合に出た後毎回俺はそれをやっていた。シーンの反復、自分の選択。プレイの展開が速まるにつれ、俺は王子と違って脳がついていかなくなってしまう。天性のひらめきなど持たない俺が思い付きでやれる事など知れている。起きてしまった事の復習によって、俺は次の予習をする。

「次?馬鹿か?」

 次などあるはずもないと思った。だってあんな形で帰ったは俺で、王子はそれを追わなかった。

(なのに……勝手に考えてしまう。やっぱ癖んなってるんだな)

 冷たい置物の気配を脳裏に、やっぱり俺は復習した。アイスバックで瞼を冷やし、何度も、何度も、復習をした。独りぼっちのオフの朝の、すがすがしさない、出来事だった。

 王子との会話は知恵比べだ。いつも俺は勝負に負けた。けれど惨めを晒して尻尾を巻いて、そそくさ逃げ出したのは初めてだった。

「そりゃ俺もなんか調子がおかしかったけど……なんでだ?王子もいつもと少しずつ違ってた」

 何が違うか考えてみるに、出来事の起点が見え始める。

――キミさ、今日はなんか妙に

「妙に?なんだ?」

――いや、なんでも

(あの時もう少し食いつけばよかった。あの時王子は何を隠した?)

 何度も、何度も、考えた。

――ねぇ、ザッキー。そうじゃない

「そうじゃないって、どういう意味だ?」

 何に対して指摘したのか。どうあるべきと指示したのか。何度も、何度も、復習した。

――なんでキミさ、そうやって話をややこしくしたがるの?
 恋慕によく似た崇拝心を、彼が弄ぶのはいつもの通り。そのはずなのに何かが違った。疑似恋愛ゲームをからかう言葉の中に、わからない何かが隠れて見えた。

「王子がややこしくしてるんだ。違うのか?違わないだろ?」

「あの人がああやって飽きもせずからかい続けるから、俺は変に意識しちまって、時々変な事考え……」

――ザッキー、キミは激しく矛盾している

――本当はちゃんとわかっているんだよね?

――ザッキー、不毛なんだよ

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