お花結び

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俺と王子と情熱と

時々ジーノの家に遊びに来る程度のまだ出来てないジノ→←ザキ。なんちゃってアドベントとしてクリスマスに向けて連載やりました。しかし予定が狂って年末まではみ出してしまった……「私の書くジノザキから連想した文章」を書いていただいたので、それをベースにスタートしました。

        ジノザキ

Felice Anno Nuovo! 02

(俺、いつの間に……)

 目覚めてみればアチコチ痛む、不快が体中を駆け巡る。見れば俺は裸のままで、思わずそれに驚いてしまう。俺達は沢山、動物がじゃれ合うように時を過ごし、その感触を思い出すようにモゾモゾ体を動かした。

(王子……)

 それを求めてうつらうつら、けれど、居るはずの人が傍に居ない。この所在無さをいつの間にか掛けられていた肌触りのよいブランケットが癒してくれた。けれどこれはただの文明の利器で、俺の中の人間性の目覚めをひっそり促すだけだった。獣に戻るには王子が足りない。

(いない……ドコだ?王子?)

 痛む体に無理を強き、起き上がっては主を探す。中途半端な覚醒の中では不安が心の大半を占め、重い瞼と戦いながら必死になって目を凝らす。すると薄暗いこの部屋の向こうに、暖炉のような明かりを見つけて、そんな些細にホッとする。

(ああ、キッチンに……)

 かの人は俺と同じに肌を露わにした姿のままで、ひっそりと明かりの中に佇んでいた。その後姿はまるで映画の一場面だ。照明、セット、その被写体と、とても美しいものだった。

(そうだ、あの映画にも、こんな場面が)

 ふと思い浮かぶ自分の想起に俺は恥じ入る様に目を伏せた。男に玩具にされたあのヒロインも、こうして切々と男を眺めた。自分のものではないと知りつつ、それでも欲しいと見つめたのだ。女と自分が重なって見えて、得たはずの充足感はたちまち色褪せ、独りの体を孤独にする。

(俺、あの王子と、本当にした?……のか?)

 痛みと快楽。くっきりと刻まれたように感じたそれらが、ユラユラと幻と化していく。していた時も、今この時も、まるでリアリティが感じられない。俺は未だに獣と人間の狭間にいて、思考も迷子で、ただ寂しい。

「あれ?起きた?」

 彼が俺に気が付いたようで、キミもお水いる?なんて何事もなかったように話しかける。何度となく繰り返されたそんな俺達の過去の姿が、非現実な世界を覆って、益々俺を戸惑わす。

「いらない?」
「……あ、ください。喉渇いたんで」

 喋り方を忘れてしまったかのように、俺はぎこちなく返事をする。
 でも言葉は王子に通じたようで、グラス片手でにっこり笑って音も立てずにやってくる。その仕草もまたいつもと同じで、けれど全然いつもと違って見えた。何故なら彼のその姿が。

「ちょ、前くらい隠して歩いてくださいよ!」
「?」

 上半身だけでなくカウンターで隠れていた王子の下肢にも、やはりなんら衣類はなかった。あまりに平気な王子のムードに、寝乱れた夜への慣れを感じてしまう。これは見てはいけないものだ。それに相応しい相手のための、そんな思いが自分に廻って思わず目を逸らし俯いてしまう。

「何言ってんの?男の裸なんて珍しいもんでもなんでも」

 王子がすかさずチャチャを入れる。彼の正論の前に俺は、ドキドキと心臓を跳ねさせながらしどろもどろに言い訳をする。確かに男の裸なんて珍しくはない。けれど王子は違うのだ。

「そ、そりゃそうだけど」
「じゃ、いいじゃない別に」
「で、でもあんたは、いつも必要以上には……なままでいないでしょう?バスローブ……とか、ちゃんと着てる方だし、だから俺、あんたの……には慣れてなくて!」
「何?もしかして裸って言うだけで恥ずかしいの?信じられない」
「う、うるさい!」
「じゃあ尚更そんなのこうして慣れちゃえばいいんじゃないの?ボクの、ハ、ダ、カ」
「そッ」
「今更だよザッキー、キミってばこんな裸以上に恥ずかしいようなあられもない姿をボクにあんなに晒しておきなが」
「ッ!」
「おっと」

 頭にきてぶん投げたクッションは軽く躱され、床にへたりと落ちてしまった。そしてそれを拾いもせずに、王子は何事もなかったかのように隣に座る。そうしてあくまでもマイペースのままでニコニコ笑いながら話を進める。

「ところで、ねぇ、ザッキー、お水いらないの?」
「……いりますよ」

 手を差し伸べると、コップをよける。意地悪王子の意地悪だ。

「王子」
「……」
「ほら、何してんですか。早く」
「わかってないなぁ、ここはほら、あれしかないんじゃないの?」
「?」

 そして、チュと小さく音を立てる。

「あ……」
「フフ」
「い、嫌ですよ!そんな馬鹿馬鹿しい」
「おっかしいなぁ、キミ、ボクの事どうだって言ってたっけ」
「それとこれとは」
「同じだよ?」
「……そういうの、俺は嫌いで」
「ボクは好き」
「……」

 にやつく王子の顔が下世話だ。

「キミはボクを?」
「……好きです」
「ボクはキミに飲ませたいの。そしたらキミは?」
「やりません」
「……」
「……」

 王子が、ふい、と席を立つ。ドキリとしてそれを追おうとしたが、体が痛くて動けない。

「それじゃボク練習行けなくなっちゃうんだけど、キミはそれでもいいのかなぁ?」
「え?」

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