お花結び

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文学妄想お題ったー詰め 3

【10452文字】
文学妄想お題ったーで一日一ジノザキ。2015年6月の13本分。

【お題】太宰治「鬱屈禍」

あなたは太宰治作「鬱屈禍」より『「私は、私の仇敵を、ひしと抱擁いたします。息の根を止めて●●てやろう下心。」』でジノザキの妄想をしてください

<SS>

 あの人はいつでも平等を思わせながら、選ばれたるものの権力をふるう。俺はそんな王子が大っ嫌いで、大っ嫌いだからこそ噛み付くをやめた。
(ああいう手合いは、歯向かう人間をこそ面白がる悪癖を持ってるもんだ)
 じゃじゃ馬ヨロシク、椿が暴れる。
(ほらな。知ってたし)
 王子の興味が根こそぎ逸れる。その瞬間から、俺はまるで透明な犬で、今日もまた殆どパスが来なかった。程よく彼を受け止めて受け流す俺は、王子の視野からそれてしまったのだ。
(んだよ、あからさまに)
 俺は王子が大っ嫌いだ。わざわざ突込みが必要なボケをかまし、付き合ってやっても感謝すらしない。大っ嫌いで、大っ嫌いで、大っ嫌いだからこそ、つい我慢しきれず牙を剥いた。
「へぇ?」
 何やら意外とにやつくその顔に、俺は無性に腹が立った。
「なんだ、やっぱりキミもかまってほしいの?」
なんて、何を言ってる?俺があんたをかまってやったんだ。
(こうして欲しいんだろ?馬鹿馬鹿しい)
 そして案の定、更なる腹立ち。思惑通りというよりむしろムカつくくらいに、俺の透明の魔法がすぐさま消えた。大っ嫌いな王子は俺をからかい、不快とともにパスも来た。
(んだよ、それ)
 とってみせろと馬鹿げたコースで、俺を走らせて高らかに笑う。大っ嫌いな王子は、さも嬉しそうで、その姿はまるで、あまりにもまるで。
(け、子供か)
 つまり彼は選ばれたる権力者でなく、正真正銘、天衣無縫の無邪気なガキだ。
「ほらほら、ぼんやりしてないで頑張らないと」
「こなくそぉー!!!!」
 大っ嫌いな王子は、プレイが上手く繋がろうと繋がらなかろうと、いつも楽しそうに笑っていた。
「俺にはナツさんみたいに怒らないンスね」
「だってキミはナッツじゃないもの」
 俺は王子が大っ嫌いだ。何も期待されない、俺が嫌いだ。


ジーノがなんでも許してしまうのは、かなりの「お気に」だからなのにっていうお話
(だからこそそれが気に入らない崎君かわいくないですか)

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