赤ワインが生んだ、あの夜の回帰
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いつものように蛇足の当夜のお話です。飼い主に「待て」を言えちゃう犬は、きっときっとザッキーだけです!(でも当人はわかっていない)
久しぶりにコメントをいただき、感動と興奮で書きました。自分のために書いてるとはいえ、ワンパターンの上、めちゃ長くなって反省してます。ですが何とも(スケベ妄想が)楽しい週末を過ごすことが出来ました!感謝!二人はタフだなぁと言うだけの話デス。ワインってあんな感じのくせに?度数が結構高いですよね。
赤ワインに弱い赤崎は、あの夜アルコールに負けてしまって、秘密の本音を暴かれた。ジーノがとても好きであること。好きで好きでたまらないこと。そんな好きを持て余し、おかしくなりかけてしまっていること。愛とも、恋とも、思ってなかった。けれどそれは日々を重ねるごとに、どんどん持て余すものとなり、醜悪なほど腐臭の漂う、いわば悪意と化した気がした。
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ジーノに好きだと言った時、でもこんなの駄目です、と同時に言った。
「俺は駄目だ。駄目なんですよ」
弱々しい声で繰り返し、それは何故かとジーノに問われた。赤崎にとっては非常に酷で、問われるごとに困窮しながら『好きで』『駄目で』と気持ちを吐露した。
「だからそれは何故なんだい?そんな風に苦しんでたら、僕まで辛いよ。やめようよ」
頭は酔いでクラクラとして、ジーノの優しい気遣いに泣き出したいような気分になった。ワインは赤崎を脆弱にして、いつもの二人の関係以上に弱者と強者になっていた。だからただただ弱者の方は、弱音しか吐けない状態だった。頬に触れるてのひらが、首筋を伝う指先が、見栄や強がりも無効にしていく。まるでウィルスが付け入るみたいに、元ある赤崎の素直さを、マジシャンのようにするするといとも簡単に引き出していく。
「王子をすごく尊敬してる。それは本当のことなんです。けど、もう何が何だかもう……俺には全然わからないんです」
心の深層を露出させるのは、今のジーノには簡単だった。ほんのささやかな声掛けで、赤崎は返事を引き摺り出される。
「駄目っていうか、変っていうか、ともかく、ひどく不具合な感じで」
赤崎の本音は未熟な語彙で、子供と話しているかのようだった。
「あんたに何かを思っているのに、それが何かわからないんです」
ワインか、気持ちの負担のせいか、赤崎は崩れ落ちていくかのように顔面が真っ青に変化していく。
「そんな風に問い詰めないで……王子、虐めないであんまり……」
嗚咽に似ている嘔吐の仕草は、とても微細なものではあった。けれどへとへとな赤崎を連れ、洗面所へと移動した。
