お花結び

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愛情たっぷり?酒酔夢

お花見三部作の続き。泥酔して勢いのままエチーしてるだけのジノザキ。ふざけたり、真顔になったり、喧嘩したり、二人とも自分だけはシラフなつもりですが、おんなじくらい頭のネジぶっ飛んでます。

        ジノザキ

(終わって…王子…無理…もう俺、無理だ…終わって…早く…終われ…)

 赤崎が精神的肉体的敗北を感じながらこの世界から抜け出す呪文を心の中で繰り返していた時、突然想定外の不快がいきなり自身の体に食らいついた。

「ギャ!!!何すんだ!!!」
「え?」

 いきなり突き飛ばされて男はパチパチと瞬きをしながら豆鉄砲を食らった鳩のように目を見開いていたが、そんなことは今どうでもよかった。

「いきなり、どこに指入れんだよ!この馬鹿!」
「ちょ、待ってよザッ…」
「ふざけんな!」
「いや、別にボクふざけてなんか…」
「ふざけてるだろ!」
「……」

 痛みと怒りで急激に現実に引き戻され、服従を強いる浮かれた熱情が体から消し飛んでいくのがわかった。

(今こいつ、俺のケツの穴に指入れやがった)

 体が冷えるとともに狭窄に陥っていた視野も意識も少しずつクリアになっていく。それでも深酔いした上体中弄ばれていた直後だったので頭はろくに機能していなかった。まあ、いい。仕切り直そう。赤崎は取りあえずそう考えた。赤崎は逃げ出したかったはずのジーノとのセックスが台無しになるのが急に口惜しく思えたのだ。つまりは敗北を感じながらも崩れていく自分をある意味楽しめていたということだ。体に悪いものほど美味しく感じる。そういうことだった。

「スイマセン、王子。いきなりで俺、ちょっと驚いちゃって」
「うん、いいよ。そうだよね?確かに急に…じゃ驚いちゃうのも当たり前だよね」

 よし、この調子だ。赤崎は心の中で小さくガッツポーズを決めながら、悪戯なことをしでかしたジーノを責めないように気を付けて言葉を続けた。

「奉仕してくれるのはいいけど、そんなとこまで弄り回すような奉仕は俺ノーサンキューッスから」
「奉仕?」
「えぇ。あの、沢山気持ちよくしてくれてありがとうございました。なんつーか、やっぱあんたうまいッスね」
「そうかい?なんか面と向かって言われるとちょっと照れちゃうじゃないか」
「じゃあ、そろそろ交代しましょう?」
「交代?」

 赤崎を見下ろすジーノの頬に軽く右手を添えると、ジーノは穏やかな笑顔を浮かべてやんわりと包み込むように自分の左手を重ねた。よし順調だ。流れをこっちに引き寄せてまた続きを始めたい。赤崎は反対の手で今度はジーノの右耳にかかる髪をかき上げながら優しく言った。

「今度は俺が」
「キミが?」
「今度は俺があんたを気持ちよくさせてやっから」

 決まった!赤崎がドヤ顔でそのままジーノを引き寄せようとすると何故か男がぐっと力を込めて耐えたので先ほどのようにはうまく抱きしめることが出来なかった。あれ?と思った。

「えぇ?いいよそんな…ボクまだもっとキミをよくしてあげたいし。この程度じゃ全然物足りないだろ?」

 にこやかに笑う笑顔が眩しかった。王子は優しいな。そう思った。

「いいですって。遠慮しないでください。行ったことないけどあんたのソープ嬢並のテクニックはもう十分満喫しましたから」
「ソープ嬢って…待ってよ、さりげなく今すごく失礼なこと言わなかった?」

 ピクリと不快をあらわにした表情に赤崎は慌てて話を誤魔化し先を急ごうと考えた。酔っていると自分でも思いもしない言葉が出てしまう、と自分のしくじりを悔いた。

「いいから逆になりましょ」
「いいからって、よくないよ」
「王子、あんたの優しいのはもうわかってます。もう十分ってことです。そういう焦らしみたいなのいらないから、ほら」
「焦らしってなに?逆って…キミ何言いたいの?ちんぷんかんぷんでなにがなんだか…」
「だから、そろそろ本番いきましょっつってんの。いいから大人しく俺に抱かれとけって」
「はぁ?」

 ジーノがそう答えると、その瞬間めくるめく世界はシャボン玉のようにパチンと音を立てて割れ、急に不穏な空気が漂い始めた。

「キミさ、勘違いしてない?」
「何がッスか?」
「ぶっちゃけた言い方させてもらうけど、まさかキミ、これからボクに突っ込もうとかそんなあり得ないこと考えてるとかないよね?」
「あり得ないって何だよ当然じゃねぇか。それのどこがおかしいんだよ」
「な!キミが突っ込まれるほうに決まってるだろう!?ボクそんなとこに突っ込まれた経験なんて一回もないよ!」
「何言ってんだよ!俺だってあるわけないだろ!どう考えてもあんたが突っ込まれ役じゃねーか!経験豊富なんだろ?!こっちはビギナーなんだよ!ベテランの方がより難易度の高い役割務めるってのは世間一般の常識から見ても至極真っ当な話だろうが!」
「何言ってんだよ!あり得ないよ!」
「こっちこそあり得ねぇよ!」
「信じらんない!」
「俺だって信じらんねぇ!」

 まるで相撲の立ち合いのように互いを睨みつけながら二人はギュッと口を閉ざした。鬼も逃げ出す剣幕とはこのことだ。ちなみにこの熱い眼力の燃料は当然各々の男の意地とプライドであった。

「ちょ…ちょっと落ち着いてよザッキー。整理しよう」
「あんたこそ落ち着けよ」
「こ…こんな単純なことでトラブるなんて思いもしなかった」
「俺もです」
「言っとくけど結論はもう出てるからね?」
「出てますね」
「ボクに任せといてくれれば大丈夫だから」
「あんたが俺に任せんだよ」
「いや、いや…」
「いや、いや…じゃねぇよ」
「……」
「……」

「えと…ほら、ボクこういうの慣れてるからさ?ね?キミは慣れてないでしょう?」
「あんた何事も勉強だとか言ってたじゃねぇか」
「…勉強も段階があるんだよ」
「詭弁だ」
「大体さ…ボク達二人とも男を相手にするの慣れてないっていうか…ね?でもキミと違ってボクは…」
「なんだあんたも初めてなら一緒じゃねぇか。ベテラン顔してたのも全部嘘か。端からそう言えよ」
「失礼だな。ボク男相手はあれだけどセックスそのものは慣れてるし別に嘘じゃな…」
「王子、当たり前だけど女ん時に使う穴は今回のとちげーだろ?この場合あんたご自慢の経験はなんの足しにもなんねぇんだよ」
「そんなことないよ」
「あるよ。今その穴使えるならともかく、ねぇんだし」
「ま、まあ、ここに今あれがあれば、こんな問題は起きなかったね」
「そうだな、あんたについてりゃ四の五のうるさくなかっただろうな」
「なんでボク前提の話になるんだよ。キミについてればって話だろ?」
「何言ってんだよ。俺にはつかねぇよ」
「ボクにもつくわけないじゃないか」
「……」

「えと…なんの話だっけザッキー」
「今してるのは女の穴がここにあるとすればって議論ッスね」
「そうか…そうだね…」
「取りあえず俺その議論あんまり意味ねぇって感じ始めましたけども…王子のほうはどうでしょう」
「確かに不毛だねボクもそう思う…ってかなんでボク達そんな話…」
「お互い酔ってるからでしょうね」
「あぁ…そうだね、それなりにね」
「それなりじゃなくてかなりね」
「…萎える一方だし、もっと建設的な話に戻そうか」
「そッスね」
「…なんだっけ?」
「…えーっと…突っ込まれるのに相応しい穴の持ち主はどっちか、って話だったような」
「あーそっか…平たく言えばそんな話してたんだっけね」
「平たくなくてもそうですけどね」
「あらためて冷静に考えたら変な話だね。ボク達お互いおんなじもんしかついてないし」
「そッスね…俯瞰で眺めるとそんな感じッスね確かに」
「でもやだよボクのはそういう穴じゃないよ」
「俺もッス。てかそもそもどっちのもそういう使い方するとこじゃねぇんだってば」
「何?そっからの話になるの?」
「じゃ、どっから?」
「……」
「……」
「ボク、本当はセックスのあれこれについてはプライベートのことだからやたら具体的なところまで説明したくないんだけど…」
「俺だってあんたと他人の赤裸々エロ体験なんて特段聞きたくねぇよ」
「聞いて」
「どっちだよ」
「あのね、キミさ。わかってないんだよ」
「何が?」
「女の子にはね?女の子だけについてる穴と、男にもついてる穴の二つがあるんだ」
「馬鹿にしてんのか」
「だから、理解してくれた?」
「何がだよ」
「…もう!」
「もう、じゃねぇよ」
「キミが鈍くて頭に来るんだよ!ようするに女の子のならボク両方突っ込んだ経験があるって言ってんの!付き合わせた女の子の名誉のために漏らしたくはないネタだったけどね!」
「……」
「ちょっと、あの…そこで変にドン引きしないでくんない?」
「いや、なんで…れっきとしたものがついてんのになんでわざわざ違う穴を使おうとか…ありえねぇだろ…」
「やめてよ…そういう目で見るの。バリエーションの一つだろ?」
「なんで?白米あるのに土喰うってのと同じじゃん…」
「ザッキー、その例え方わかりにくいよ」
「う…なんかキモイ…」
「ちょっと、ねぇやめてよそんな言い方。あれだよ。白米白米で同じものばっかりだと飽きてくるだろ?サッカーの練習にしてもおんなじことばっかりしてたらうんざりしてくるじゃない」
「何言ってんだよ変態」
「!」
「ねぇよ…王子って変態だったんだ…っていうか王子ってうんざりするくらいセックスする人だったんだ…今まであんた何回…」
「ちょっとちょっと!今ボクのこと変態って言った?大した話じゃないよキミ頭堅いんじゃないの?やってみればわかるよ。実際前と後ろじゃ全然感じ方が違って、特に後ろの方の締め付けってすっごく気持ちがい…」
「へー、なるほど!わかりました!どんなにいいか是非教えてくださいよ!よろしく王子!」
「何言ってんだよ!ボクの穴はそういうためにあるんじゃない!あり得ないって言ってるだろう!?」
「なんだよ!俺だってやってみて良さがわかりゃ変態呼ばわりしたこと訂正しますよ!!」
「訂正されなくてもボクは変態じゃないからいい!」
「あー!そうかよ変態!俺が女相手だったらゼッテーそんなことやんねぇけどな!変態じゃないからッ!」
「変態言わないで!」
「言わなかったらやらしてくれます?」
「それは、ダ・メ」
「そうですか、わかりました変態」
「……」
「……」

「もういい…」
「なにがいいんですか」
「変態でいいって言ってんの。そうだよ、ボクは変態だ」
「いや、いきなり開き直られても」
「だからキミのお尻はボクに差し出してもらうことにする。何故ならボクは変態だからダッ!!」
「はぁ?ちょッ…なんでそういう!待っ!!逆ギレは…こら!やめッ!!」

 ジーノは合気道の要領で赤崎をあっという間にうつ伏せにし、身動きが取れないように腕を背中回しに締め上げると同時に反対の手で秘めたる部分に指を力任せに滑り込ませた。

「ぅわッ!痛ってぇええ!!」
「変態変態うるさいからお仕置きだよザッキー!参りました観念しますって言いいなよ!言ったらちゃんとローション使ってあげるから!さあ!」
「うあ!!やめろ!裂ける!裂ける!乱暴すん…ああ!!」
「違う!参りました、でしょ!?」
「うううう!!」

 暴れるジーノの指の動きはわざわざ皮膚を引き攣らせる。当然その行為は赤崎の歯と秘部を力の限り食いしばらせる。こうなればもうジーノと赤崎の意地と意地のぶつかり合いで、これまたこの行為は男女の生殖行為とは程遠いまるで別物の感覚を二人の全身を駆け巡らせていた。苛め、拷問、虐待。つまり悪意の詰まった触れ合いだった。

「サド!鬼!変態!!あ、いやだ!!!痛ッッぅうう!!!!くッ!!!」
「強情だね!っていうか寧ろキミご満悦だったりするんじゃないの??そういう素質…あんの…か、も!ね!!」
「ああ!」

 突っ込む突っ込まないのやり取りとジーノの狼藉ですっかり萎えていた赤崎のそれは、確かにジーノの言うように少しずつ熱を取り戻していた。赤崎は理不尽な体の喜びに気づきその屈辱に顔をゆがめ、ジーノはこみ上げる未知の愉悦に頬を引き攣らせた。これこそまさに変態行為の中でだけ生み出される、奇妙で後ろ暗い背徳的興奮だった。

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      ジノザキ