愛情たっぷり?酒酔夢
お花見三部作の続き。泥酔して勢いのままエチーしてるだけのジノザキ。ふざけたり、真顔になったり、喧嘩したり、二人とも自分だけはシラフなつもりですが、おんなじくらい頭のネジぶっ飛んでます。
スっとティッシュを抜き取る音
カタカタと引き出しを開ける音
目元の涙、口元の唾液、まとわりつく汗、腹を濡らした白濁。ジーノは付着する様々な湿度を上から順に丹念に拭っていく。綺麗にしてはその部分にじんわりとしたキスを重ねる。
射精の瞬間、ジーノはティッシュを用意することもなく赤崎のそれをシーツと自身の指で受け止めるかような真似をした。少しずつ意識を取り戻しつつあった赤崎はその光景を想像し、汚してしまった罪悪感と手淫によがって射精した姿を見られた羞恥という、二つの説明できない快感が体を襲った。
(あ…)
ピクリと反応したソレの動きに気付いたのか気付かなかったのか、妙なタイミングでジーノがクスリと声を立てて笑った。見透かされたようなその様子に再びそれは反応してしまい、恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだった。すると次にジーノはその部分の先端に今日初めてキスを重ねた。
チュ
楽しげに思えるほどの明るさでチャーミングに跳ねる音。その響きはこのキスが欲情を煽るための愛撫ではなく、子供が大事なものを扱う時にやるようなちょっとした愛情表現であった。それでも、その戯れがあまりにも気持ちが良くて赤崎は赤面しながら、それがドンドン喜びを表現しはじめるのを知らんぷりするしか出来なかった。
「休憩はもう十分?若いねぇ」
クスクスという笑い声とともに力の入らない赤崎の左足はひょいとジーノの右肩に。すると大きく開け放たれた根元に、ヌルヌルとした生暖かい液体が落とされた。
「!」
「あ、ゴメンね、驚いた?ローション冷たかったかな」
そう言いながらジーノの指先はよどみなくローションを塗り広げていく。先ほどの出来事で抵抗する気力を失った赤崎は相変わらず人形のようにされるがままだった。
少しずつ穏やかな形で赤崎の内なる喜びが再び体の隅々から湧き上がり始める。今のジーノのしているのは、先ほどのやり方とは全然違う、まさに紳士の行為だった。鼻歌が聞こえてくるかのように軽やかに感覚だけでやりこなしている所作。ストレッチ付きのマッサージのようにリラクゼーションすら呼び込む恍惚。何一つ赤崎を痛めることのないようにという気遣いがその作業全てに込められていた。春の陽気に綻ぶ花のように、赤崎の体が解放されていく。そんな心地良い弛緩の世界。ここには想定していた排泄の虚無感の一切がなかった。ギリギリと締め上げられるような責め苦に近い快楽もなかった。
今から始まるのが本当の意味でのセックスってものなのかも…
赤崎はそんな風にぼんやりと考えていた。ちょっとクサいな、とも思ったけれど、それが気にならないくらいに今の行為を自分もジーノも本能的な感覚で楽しんでいた。確かに赤崎本人がどう感じようとも、客観的に見ても二人の行うそれらは、まさに愛の営みといって相応しいものであった。
ジーノは肩に掛けた赤崎の足を宝物のように愛でつつキスを繰り返し、ゆっくりと出入りを繰り返している指先は例の刺激的な箇所を時々軽くなぞりながら徐々に赤崎の排泄のための器官を受け入れるための存在に作り替えていった。さっきは中指だけであれほど痛かったのに、もう少しだけ我慢してね、と言われ増やされたのが今の赤崎には何本目の指なのかもわからないほど、そこはいやらしいほど滑らかに弛緩していた。
外遊びを続けていたジーノの左親指が、他の指の抜き差しついでに赤崎の根元をクルクルと刺激する。指腹が皮膚の下にある管を弄ぶので赤崎は素直にその快感を口にした。
「う…、それ…気持ちいい…」
「フフ、そぅ?他人のここ弄るの初めてだからそうやって色々教えてくれるとボクも助かるよ」
「あ…」
こんな感じ?こういうのは?ジーノの問いはやはり先ほどのような言葉嬲りのそれではなく、少しでも赤崎がいいようにという思いやりの響きを持っていた。
「さ、ザッキー…そろそろ…いいかなぁ?っていってもわかんないよね、初めてだし」
すっかり押し広げられたそこから指を抜き、ジーノは少し気後れするように打診する。茶目っ気たっぷりの笑顔だったがその陰には、もう待ちきれないという、子供のおねだりような、獰猛な獣の鋭い牙のようなものが明快に浮かんでいた。ジーノの中にあった隠し切れない激しい雄の性欲の表出だった。
(王子…俺のこと欲しがっている…そんなに…我慢しきれない…くらい…?)
そのゾクゾクとした刺激に赤崎の雄も煽られ、今すぐジーノにむしゃぶりつきたい衝動が身に起こった。それほど、自分の心と体の両方が渇望と歓喜に奮い立ったのだ。抱かれたい、待てない、何もかも俺の全てを愛し尽くされたい。赤崎は自分の内部に起こったこの信じられない変化に言葉を失い、思いとは裏腹に健気に餌を待つ巣の中の小鳥のように大人しく男が来るのを待つしか出来なかった。
それでも、戸惑いながらも急激に変わっていく自分を嬉しくも感じていた。今はもう、抱こうが抱かれようがそんなことはどうでも。欲しくて、あげたくて、大切なのは形ではないと、素直にそう思えていた。
「ゆっくりでいいからね?辛かったら、ちゃんと言うんだよ?」
零れる獰猛を隠そうと優しい笑顔を努力する男を見上げながら、赤崎は小さく返事をする。
「はい、王子」
「あれ?素直だ?どうしたの急に…なんか調子狂っちゃうなぁ、フフフ」
「なんか文句でも?」
「おっと、機嫌損ねられちゃ大変だ…冗談だよ。じゃ、力入れるとキツイからなるたけリラックスしてね?」
いつものような余裕綽々の調子のいいトーク。ムードの一つもありはしない。それでも、赤崎は満足だった。ジーノの持つ気丈な理性が男をいつもの調子にさせてはいたけれど、甘い言葉を繰り出す色男に変身出来る程には余裕がないんだと感じたからだ。プライドが高くて負けず嫌い。そんな男の精一杯がちらつく今に、赤崎は大きな幸せを感じていた。
(そっか、あなたってこんな人だったんですか…ホント、俺はわかってなかった)
王子の獰猛は俺を欲する愛所以
王子の笑顔は俺を労わる愛所以
そのことを理解出来た赤崎には、もう、怖いものなど何もなかった。
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