お花結び

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雲行き怪しい?醒酔夢

お花見三部作ラスト。前回泥酔により“いたしてしまった?”仲良しジノザキが迎えた朝のお話。記憶飛んで揉めてます。あと、またやってます。ともかくこの2人はイチャイチャしとけばいいですよね。

        ジノザキ

 咄嗟に両手首を掴まれて、赤崎はイラッとしながらも結局どうすることも出来なかった。ジーノのこの手の技術に赤崎が勝てるわけもなく、捉えられた段階で既に話は終了していたからだ。

「あんた…マジ頭おかしいわ…」
「よく言われる」
「あ、そ…慣れてるンスね」
「ね、ザッキー」
「なんスか…」
「報告」
「何の」
「結構大丈夫そう。ボクも驚いちゃった」
「何が」
「あ、見てみる?意外だよね?ほら、ほんのちょっとだけだけど固くなっ」
「見るかぁああッ!!あんたいい加減にッ!って痛い痛い痛い!!!」

 赤崎の剣幕に驚いたジーノが咄嗟にくるりと腕をひねりあげたので、赤崎は思わず悶絶した。

「あんた、昨日からそれやめろよ!!」
「あれ?ボク昨日もこんなことしてた?」
「痛いって!」
「ちょっと待って?ね、ザッキーってば」
「痛い!痛い!」
「……」

 ジーノが力を緩めたので赤崎は掴まれていた腕を振り払うように引き離した。

「ったく馬鹿力め…」
「……」
「ん?」
「あれなの?イケたとかイケなかったとか以前に…つまり…ボク、キミに無理強いしたって事…?だから具体的に話したくなかったの?」
「え…」
「そ、そうだよね…だとしたら忘れた方がって…思うよね?そういうことだったんだ?」
「あ、いや確かに無理強いではあったけど…」
「やっぱそうなんだ?だよね?普通そうだよね?キミって好きな女の子相手だって奥手っていうか真面目そうな感じするし…ましてや関係ない男相手に冗談半分でだなんて…」
「いや、聞けって」
「ボクキミになんか色々無茶して…きっと全然良くなくてちゃんとイケなかったんだ…」
「なんかあんた結局そこにこだわるんだな」
「大事な事でしょ?せっかく嫌な目に合うの我慢する羽目になって、その上で不快でイケなくてってさ?更に最悪じゃない。なんのメリットもない」
「そりゃまあ、ってかメリット云々以前の話だろそれ」
「ゴ…ゴメン…謝って済むことじゃないけど。無理矢理気持ちよくないことをキミにしちゃって…」
「いえ別に謝ってほしいわけでも…てか言い分がなんかおかしいだろそれ」
「お詫びに…」
「だからお詫びとかも別にいらねぇって、え??ちょ…」
「リベンジ、させて?」
「な…」
「大丈夫、今も少しは酔いが残ってるけど昨晩よりは意識はっきりしてるし、真面目にやればきっとキミの事気持ちよくしてあげられる自信あるから」
「て…丁重にお断りしますよ!俺は別にそういうので立ち向かわれても困るっていうかイッても別に意味なんかねぇっていうか…」
「意味、あるよ」
「ないんだって…」
「なんでないの?」
「こういうことはお詫びとかなんとかそういうことでやることじゃねぇんだよ」
「ザッキー、キミが踏んだり蹴ったりなまんま終わっちゃったら可哀そうだよ…」

 あまりにもナチュラルな流れで赤崎はあっという間にベッドに沈められてしまう。

「冗談が過ぎる!何いきなり俺のこと押し倒してんだよ、やめろよッ!あんた男嫌いなんだろ!?」
「うん、でもさっき試してみたらキミなら大丈夫そうだよ?ねぇ、しよ?してみよう?もう一回。っていうか昨日は記憶もないしきっと随分中途半端だったんだろうし、だからちゃんとしたセックスっていう感じのを今から、ね?ボク達これからも毎日顔合わせなきゃいけない生活が続くんだ。ボク頑張るよ。せっかく嫌な目に合うんだからちょっとでもいい思いして終わらしといた方がいいよね?」
「ちょっと待てって!だったら尚更意味不明だろその論理!無理矢理だったの反省すんだったら普通はもう二度としないって、ちょ!待った!」
「だからちょっとでもいい形の無理矢理にしておこうよって話だよ。嫌だったけど、気持ちはよかったな、ってね?そういうほうがいいじゃない」
「意味わかんねぇ!ってかやめろ!変なもん俺の股間に押し付けてくんな!」
「変なって失礼だな、キミにだってついてるし、大体今の状態じゃボクよりキミのやつのほうがよっぽど固…」
「うるせえええええ!これは単なる朝立ちだよ!!!!」
「そうなの?でも、ま、丁度いいんじゃない?」
「よくねぇ!俺の性格さっきあんたわかってたじゃないか!こういうのは体の反応云々の問題じゃなくてまずは、っておい聞けって、王子!」

 赤崎は必死に抵抗していたが一晩ですっかり変えられてしまった体が意志とは裏腹にドンドン反応してしまう。昨日の感覚が未だ冷めやらぬ赤崎の体はもう完全に言いなりの状態だ。力は抜け、呼吸が乱れ、圧迫された局部の熱が新しく覚えた臍の奥の疼きを煽り始める。

「や…」
「ゴメンね?今度は絶対」
「頑張んなくて…い…あッ…」
「キミ、変な色気あるね…てか、なんかボク少しずつ思い出し…」
「うぅ…」
「ここを確か…」
「!」
「こういうのとか…好きとか言ってたよな…」
「□△×…!」
「そんで…」
「や!てめぇ…はな…ぁ…」
「ここもこんな風にするのが…」
「ッ!〇×△んんッ!はぁ…ッ」
「ねぇ、ザッキー。あれじゃない?ボク昨日実は結構頑張ってたんじゃない?えっと、あと何したっけな?」

(くっそおおお!俺の事からかいやがってぇ!)

 すっかり自信を取り戻し笑いながら愛撫を続ける男を呆けた顔で睨みつけても、当然なんの効力も持ちはしなかった。

「すごい。キミって感じやすくない?」

「ホッとしたよ、もしキミにボクのセックス完全に駄目出しされちゃったんだったら一体どうしようかと…」

「ね、ここいじってる時のキミの声すっごく可愛い。まるで甘えっ子ちゃんな子犬みたいでさぁ?」

「ザッキー?こういうのは…あれ?どしたの?別にそんな我慢しなくていいのに」
 

 愛情に埋め尽くされたように感じた昨日の夜とは全く別物に感じるジーノの今の行為。

 赤崎は思い出していた。このジーノの笑い方、その余裕たっぷりのからかいの口調。昨日体を弄られ始めた時と、そして初めてベテラン勢の組に入れられ鳥かごをやった時と同じもの。ボールをカットするまで交代出来ないのに全く歯が立たず、ヘトヘトになりながら果てしなくボールを追わされるあの屈辱。でも、ジーノのセックスの技能に翻弄され、終われ終われと願ったあの時と今は違う。赤崎はあれからとけていくような快楽と強い至福を滔々と教え込まれてしまった。だからもう、四つん這いになれと指示されれば命令に従い、いとも簡単に後ろから愛されてしまう。ゆるく甘い穿ちに赤崎は次第に膝を立てることも叶わず、そのまま屈服の姿勢で勝手気ままに扱われるばかりになっていく。これは真剣勝負なんかじゃない。哀れなかごの鳥の自分は遊び半分に差し出されたレタスを必死でかごの中から追うばかり。赤崎の心を支配していたのは、そんなあまりにも無力な自分の存在とその空虚さだった。体の繋がりが深まり気持ちよくなればなるほどそれは強まっていった。すぐ傍のジーノの心に触れることなどもう二度と。いや、触れたと思ったこと自体が既に酔夢であったのだ。

(う…王子…クソッ…気持ち…いい…チクショウ…)

 じれったいほどのストロークでジーノはゆっくりと赤崎を味わっていた。赤崎の息絶え絶えの呼吸が乱れすぎて苦しくならないよう、そして、細かく震える体のこわばりが少しでも取れてゆったりと今を楽しんでくれますよう。行き過ぎた刺激にならないよう細心の注意を払い赤崎の首筋にキスをする。疲弊しきった赤崎の体にそんな労わりの愛撫の甘さが広がっていく。

(腹立つ…俺はもうこんなだっていうのに、王子は…)

 余裕綽々の遊び半分に行為を楽しんでいる男。それが赤崎にとってのジーノだった。でも、現実はそうでもなかった。まるで客人を持て成すついでに己も楽しむかのような、そんな手慣れた余裕の行為だったはずなのに、ジーノは不思議な感覚に包まれている最中だった。

(こんな気持ちになったの、初めて…)

 ジーノはこの時、以前テレビで見たネコ科の動物の交尾を思い出していた。メスは激しい苦痛が伴うため交接を拒絶する。だからオスはメスを獲物を狩るような形で首筋に食らいつきながらセックスをする。メスを蹂躙できる力のないひ弱なオスは、そもそも交尾の資格を与えられないというわけだ。

(首筋が…なんか…ボク変だ…この子ちょっと怖い…)

 自分が今組み敷いているのはもう手も足も自分の言いなりになっている衰弱した獲物。敏感で、繊細で、脆くて今にも壊れてしまいそう。

(丁寧に優しく扱わなきゃって…ハラハラするくらいなのに)

 ジーノは何故かか弱い獲物に己の命を気安く晒してしまっているような奇妙な警戒とその快楽を感じていた。舐めた態度でいれば反対に一瞬にして噛み殺されてしまうに違いない。そのスリルがいつも以上にジーノを興奮させた。
 目の前にラインの綺麗な首筋の無防備。唇を寄せるだけでは、そして舌を這わせるだけでは間に合わない強い思いがジーノの全身を駆け巡る。とても衝動的な感覚。意味が分からなかった。この思いはジーノが昨晩触れた自分の秘された欲望。激しい情欲。でもその記憶がなかった。

(なにこれ…どうしよう?ザッキー…怒るかな…ボク、なんか…変…だ…変…)

 長い躊躇の末、ジーノは我慢しきれず赤崎の肩口にほんの少し歯を立てた。痕が残らない程度の軽い甘噛みだったが、ジーノがその時感じたのは体験したことのない鋭い本能的な高揚だった。

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      ジノザキ