ルイジ吉田withわんこ
【45600文字】
がっつりパラレルぐっちょりエロ、人族が犬族を支配するカースト社会で大金持ちの人族ジーノが二匹の犬族を手に入れるところから始まる童話風SF(童話風?SFか?)
考えながらの書きっぱなしで色々おかしいけど手のつけようもなくもはや推敲していく気力なし。いつも以上にライトな目線、完全に暇つぶし程度のお気持ちでご覧ください……二人とも選手じゃないの書いたのってもしかして初?かな?
鳴る音の理由
実は音が鳴る犬というのはそうそうこの世にいません。それを聞く能力のある人間もまた然り。そしてもし双方が運命で巡り合い共に過ごしたとしても、タイミングが合う機会など一生に一度あるかないかという確率です。よってこうしたジーノとザッキーの日々というのは、実際あえりないことなのです。
犬の鳴らす心の音。それは体と心の解放によってなされます。しかしこれはとても危険な現象でもありました。
「ぅ……、んっ……」
心というのはとてもデリケートに出来ていて、無理矢理こじ開けて触れるというのはもちろん厳禁です。コマンド、つまり心への介入及びその一方的なコントロールは、体質によっては激しい苦痛を伴います。まさしくザッキーはこのタイプでした。コマンドを弾く力も強固なら、苦痛を緩和し介入を促す薬にも耐性を持つ。こういうタイプの犬はいわゆる『駄犬』とされ、とてもオークションに出されやすいのです。扱いにくい犬をわざわざ飼いたがる物好きはほとんどおらず、特殊な人格を持つ者に特殊な扱いを許諾する形で引き取ってもらうしかないからです。
「ん、ぅ……」
鉱石のような強靭さを持つザッキーのガードを貫けるような人間はいません。強制介入出来たジーノの強さが異常なのです。でもだからこそ。
「おやすみザッキー、僕だけのいい子」
疲労の中うなされている愛犬にジーノが囁くと、まるで聞こえているかのように静かに深い眠りの奥底へ。
力を持つジーノはガードの強さの理由をとてもよく理解していました。音は儚さを量る上で最も有益なバロメーターです。それは剥き身では耐えられない脆さを持つが故に、芯は加重に圧縮が繰り返されており、その外側には少しでも己を保護するために結晶が何層もの殻を生成する。それが音の鳴る原理なのです。つまり多重に鳴る澄んだ音、それがより高音であるほど殻が薄い。ジーノはこういう音色の心が僅かな衝撃でも崩壊しやすいものだと沢山の経験で学んでいました。ザッキーの音はこれまでのどんな犬よりも高く澄んだものであり、そして誰よりも、どんな楽器よりも美麗でした。
ジーノは今、眠れる愛犬に労わりのキスをしています。そうしながら身も心も委ね切っているザッキーの心を、自由に愛撫しています。これもまた日々根気よく繰り返してきた訓練のひとつでした。
「あと少しだよ」
「……」
この壊れやすい心をどこまでも開かせて、まるで玩具のように弄ぶ。大変危険な行為でありながらも、ザッキーにとっては一種のご褒美でもありました。閉じた心はその持ち主を孤独にします。ザッキーもまた好きで閉じているわけではないのです。
